現在行われている参議院議員の選挙で、投票用紙の写真撮影を許可してくれる市町村と、あくまで禁止する市町村があります。
私が期日前投票をしようとして事前に確認したところは、残念ながら許可してくれませんでした。その結果、「投票用紙の写真をSNS等に載せる」という選挙運動ができませんでした。
この結論に至るまで、県と市町村の選挙管理委員会に問い合わせた結果、都道府県の選管では、自分の投票用紙の写真撮影は違法ではないという認識のようです。
仮に投票所で「写真撮影禁止」と言われた場合、それは市町村の選管の判断です。その場合、市町村の選管から都道府県の選管に問い合わせてもらえれば、了承されるケースも多いのでは、と思いました。
問い合わせの経緯等をまとめておきます。
問い合わせ結果のまとめ
市町村選管への1回目の確認
期日前投票で、自分で記入した投票用紙の写真を撮影したいと申し出たところ、写真は無条件で禁止と回答された。
都道府県の選管への確認
県の選管に確認したところ、投票用紙の撮影は、法律で禁止されていないと回答された。
市町村選管への2回目の確認
再度市町村の選管に問い合わせたところ、県の選管の見解(投票用紙の撮影は違法ではない)は確認したとのことだが、それでも市町村の選管の判断で、禁止を続けるとの回答だった
それぞれのやりとりの詳細は以下の通りです。
●市町村への1回目の確認
「投票用紙の写真を撮影してTwitterに載せる」という選挙運動の手法があることは、NHK党の立花孝志党首のYouTubeで知りました。
– https://www.youtube.com/watch?v=qr7ygM_P6_Q
この選挙運動は、有権者であれば、だれでも手軽に実行できる選挙運動であり、かつ、これまで投票を棄権していた人達に、投票してみようかと思ってもらえる効果があると思いました。
棄権する人は、街頭での演説や掲示板のポスター等、これまでの選挙運動は、ほぼ眼中にありません。
自分が投票しなかった20代の頃を思い出すと、よくわかります。
これに対して、投票用紙の写真をSNSに載せる選挙運動は、過去から行われている選挙運動に比べると、選挙に興味が無い人にも一定の効果がある(例: 自分が捨てている1票の権利を具体的に感じる)ように感じましたので、是非やってみたいと思いました。
そこで、念のため市町村に「自分で記入した投票用紙の撮影は問題ないか」と確認したところ、「写真の撮影は一切禁止」と言われました。
広島市の選管での事例(当初は禁止だったところ、選管の方が総務省に問い合わせた結果、自分の投票用紙の撮影はOKと変わった)があることも伝えましたが、「他の選挙人の方が不安に思われる」ということでした。
– https://www.youtube.com/watch?v=P2cbr09Xkqg
公職選挙法59条、60条の「投票所の秩序を守る」必要があるとのことなので、自分の投票用紙の撮影だけなら、誰にも迷惑はかけないということも伝えましたが、了承は得られませんでした。
「県の選管からそういう通知があれば考える」ということでした。
●県の選管への確認
納得できないので、県の選管に確認してみました。
結論としては、
– 自分の投票用紙を撮影することは、禁止されていない
– 投票所の責任者は、投票所の秩序を維持する責任があり、どうするかは各責任者に任せている
– 例えば、歩き回って撮影するとか、他の人を撮影するとかだと、秩序が守れないと判断されて、
止められることもあると思う
という回答でした。
つまり県の選管としては禁止しておらず、禁止されている所があるなら、それはその投票所の責任者の判断ということです。
「市町村に問い合わせた際、写真は一切禁止と言われた」旨を伝えると、「市町村に言っておきます」とのことでした。
これは「県の選管では禁止していない」ことを、再度周知されるのだと受け取りました。
●市町村への2回目の確認
数日後、再度、市町村の選管に問い合わせましたが、結論としては、撮影の了承は得られませんでした。
「県の選管では禁止していない」ということは認識されていました。
1回目とは違い、広島市の選管の事例も認識されていました。
そのうえで、市町村の判断として、禁止を継続するという回答でした。
・私の主張: 投票用紙を撮影してSNSに載せることは選挙運動であり、その権利はあるはず
・市町村の選管の主張: 他の選挙人が不安に思う、迷惑をかける可能性があるので、一律禁止する
どちらも違法ではなく、また、県の選管のせいにするのではなく、市町村の責任で禁止するということなので、これ以上はどうしようもないと思いました。
実は、2回目の確認の前に、品川区のホームページで、投票用紙の撮影について、許可する事例が載っていることに気付きました。
– https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kuseizyoho/kuseizyoho-sensei/kuseizyoho-senkyo/sangiinsenkyo/hpg000220629.html
これは素晴らしいページだと思いました。
他人が映りこむような撮影方法はダメだけれども、記載台の1つの枠の中で、自分の投票用紙を撮影することは認められると明記してくれています。
しかも、「周囲に人がいても、1つの枠内であれば撮影可能」「周囲に選挙人がいなければ、投票用紙と自身を写すことも可能」とまで記載があります。
私が今回やりたかったことと、このような撮影方法はダメだろうと思うことが、そっくりそのまま載っています。
このページは、2022/6/29頃に作成されたのではないかと思われます。
これは、広島市の選管が総務省に確認して撮影OKとなった事例から数日後です。
完全に想像ですが、広島市の選管と総務省の確認があった後、全国の都道府県の選管に「自分の投票用紙の撮影は違法ではない」という周知があったのではないでしょうか。
ですが、都道府県の判断で、必ずしも配下の全ての市町村にまで周知しなかったのではないか、と想像しました
(各市町村は、投票日が近付いていて忙しくなっていくでしょうし)。
県の選管に問い合わせた際、撮影は違法ではないとすぐに回答があり、このような問い合わせが初めから想定済みのようでした。
市町村は、当初は何を言っているのか不可解そうで、広島市の選管の事例もまったくわからない、という反応でした。
2回目の確認での市町村の主張は、言い換えると、「撮影すること」自体を禁止することが目的ではなく、「投票所の秩序を守ること」が目的で、それを低コストで実現するための手段として、一律禁止にしていると理解しました。
投票用紙の撮影自体は違法ではないが、個別の撮影行為すべてについて、「投票所の秩序が守れているか」を判断するのは大変で、想像ですが、当初予定していた人員配置では、それは実現できないと判断されたのかもしれません。
最終的には、私の選挙運動の権利は妨げられる形となりましたが、これは、市町村の「できるだけ低コスト(または当初予算通り)で投票所の運営を行う」という、いわば「お金をかけられない」という判断に妨げられたということなのかもしれません。
私のケースではダメでしたが、投票用紙を撮影したいが投票所で禁止と言われた場合、都道府県の選管に確認すれば、市町村の判断が変わる(自分の投票用紙に限定して、了承される)かもしれませんので、参考にしてみてください。
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